2014年12月14日日曜日

せん妄

せん妄という言葉があることを教えてくれたのは妻の往診に来てくれていた訪問医の先生で、腎機能が低下していくと、その結果尿毒症となり、症状としてせん妄と呼ばれる幻覚、妄想が起きるというものだった。しかし、そのせん妄を「症状」として捉える理解のしかたに違和感を覚えたことを憶えている。妻にもそれらしき兆候が現れたが、事後的に振り返れば、いわば、感情の大掃除をしていたようなもので、そこで表現されていたものは、妻の人生ーつまり私たちの人生ーと切り離せるものであるはずがなく、ましてや投薬といった処方に機械的に委ねられる類のものではなかった。でなければ、その時の、怒りも悲しみも感謝もすべて医学的現象に矮小化されてしまうことになる。