2016年11月20日日曜日

納豆汁

高野秀行の「謎のアジア納豆-そして帰ってきた〈日本納豆〉」は今年読んだ本の中でベスト3に入る傑作。これを読んで急に納豆汁を作りたくなった。クックパッドであらかたの作り方を確認。鍋に昆布を少しだけ敷いて、そこにイチョウ切りした大根を入れて火にかける。そこに秋田でもらってきていたなめこ缶を開け、豚肉はウインナーソーセージで代用することにして細かく刻んで放り込む。冷凍保存していた納豆を解凍し、それをすり鉢に移し味噌と一緒に擦っていく。大根が煮えたくらいで、この納豆&味噌を鍋に入れる。気がつくと鍋一杯の納豆汁もどきが出来上がってしまった。この量だと、むこう三日は納豆汁だな。味見すると材料の種類が少ない分、やや平板な感じは否めない。つぎ作るときは、油揚げは入れなくてはと思う。食べてみると胃にこないで、ハラにくる。お腹があたたまってきて、いかにもこれは冬のたべものだ。

納豆汁なるものをはじめて食べたのは秋田に行ったときのことで、義妹が作って食べさせてくれた。芋煮などにつながる東北特有のたべものらしい。山菜やらキノコが入っていたような。娘に訊いたたら、里芋も入ってたよとのこと。たしかに、里芋を入れると美味しいだろう。ねばねば系総出演だな。「謎のアジア納豆」によると、日本において納豆のルーツは秋田にありということになっているらしい。また納豆は東南アジアの山岳民族の間で広く作られていて、ただ、日本のものほど糸引きしない。食べ方も多用で、潰して平べったくおせんべいのようにして乾燥させて保存させ、使うときは、それを割って料理の材料として使ったり、調味料として使うことが多いらしい。日本で納豆=糸を引くものとされてきたのは最近のことで、ご飯と一緒に食べることに特化された結果ではないかという。また、海側の住民は魚醤系の調味料を使うのに対し、山岳系の民は納豆を調味料として使う。非常に説得力のある説。秋田南部内陸住民=シャン民族説など照葉樹林文化論などと繋がってきてまことに愉しい。