2017年5月16日火曜日

早く杖の似合う老人になりたいと思ってきたが、とりあえず二本の足で歩いている。いや、京都に越してきて以来、歩くことが多くなり、3キロ4キロは当たり前のように歩いている。これまで、杖を使っている人には、「杖は支えにしちゃいけない」と言ってきたのだが、実際に自分で杖を使って歩いたのは、熊野での経験(→熊野詣2)が初めてかもしれない。お遍路さんが杖を使って歩くのも、さもありなんという感じだ。

市販の杖は、ほぼ100%短くて頭にT字型の握りがあるタイプのものだ。いかにも杖を支えにしますという感じ。登山やウオーキング等で使われているものーこちらはストックと呼ばれているみたいーは、手を通す輪っかがついて、グリップが効くような握り手になっている。歩行にふさわしいのは、むしろ、行者さんが使うような長いタイプー錫杖と呼ばれているのもの。杖の先っぽを一歩先の地面に置くだけで、接点に力が加わらないよう歩く。坂道、石段を登るときには、足を運ぶのと同時に握ってる手を下に滑らせる。いや、手を下に滑らせることで足を運ぶ。杖は握りしめない。つまり、カタをもって杖を持ちさえすれば、これは可能だ。杖の役目って、稽古でいうと「跡おい」の感じ。杖を置いたところに自分の足を運んでいく感じなのだな。

熊野から京都に帰り着き、最寄り駅から等持院まで2キロほどの道のりをやはり杖を使って歩いたのだが、疲労困憊していたのにもかかわらず、足がスタスタと運べた。夜遅い時間だったから目立たなかったけれど、昼日中、長い杖をついて街中を歩くにはちょっと勇気が要りそうだ。回峰行の写真などみると、行者さんは自分の背丈より長い杖を使っている。ちなみに、熊野から借りてきた杖の寸法を測ってみたら125センチだった。最低、これくらいの長さは欲しい。伸縮式でオシャレな長杖ってないかな〜。