2025年3月11日火曜日

紙風船

 講義の中で「室伏くんが紙風船の稽古を流行らせててね〜」という師匠の話を聞いて、ググってみたら、なんとスポーツ庁のホームページで紙風船エクスサイズなる動画までアップされている。スポーツ庁長官って、ひょっとして偉い人なのか。

 彼が稽古会にはじめて現れたのは足柄で合同稽古合宿をやったときだと記憶している。1996年10月開催、参加者318名という記録が残っている。あれから30年近く経つのだ。本部稽古場にハンマーの球がゴロゴロ転がっていた時期もある。時に京都の研修会館の稽古会に現れ、女性陣に取り囲まれている写真も残っている。

 それにしても、あんな凶器にしか見えないものを、ブンブン振り回す競技ってなんだろうと、その後興味を持ってオリンピックや世界陸上を観ていると、もう野獣としか思えない筋肉隆々の選手たちが雄叫びを上げながらハンマーを投げている。筋肉増強剤全盛の時代で、ドーピング検査で引っかかる競技者も多かった。僕らからすると十分巨体の室伏選手が華奢に見えるほどであった。競技選手のドーピングには厳しいくせに、自身のドーピングには甘い観客というダブルスタンダードな変な世界。

 竹棒団扇ほどに紙風船が稽古道具として定着したという話はあまり聞かないが、室伏くん(もはや君付けでは呼べないけれど)が紙風船を抱えていると、ちょっと微笑ましい。ハンマー投げの球は7キロの鉄の塊。それに対して紙風船はわずか数グラム。大きさは似たようなものだろう。それを鉄人室伏がやるとコントラストが際立ってお洒落。動法とも内観とも言わず、無いものへの集注、つまり身体を引き出している。そりゃ、ラジオ体操よりも紙風船エクスサイズでしょう。