2026年8月31日月曜日

整体が消えた 3

 インゴルドやバラッドを読んでいく途中で気づいたのは、それらの本は、僕にとって整体あるいは野口晴哉を理解するための補助線ではないということだった。むしろ、野口晴哉・野口裕之の言説を通してインゴルドやバラッドが描こうとしている世界観を理解しようとしている。

 野口晴哉、さらにいえば野口裕之の教育論はもっと言及されるべき内容を持っている。1980年代中盤、数年に渡り夏季開催された裕之先生の育児講座の内容は、僕らの世代の整体観を形づくる上で大きな役割を果たしたし、同時期に整体協会の本部道場で開催されていた体癖講座もまた、野口晴哉の人間観を解説する素晴らしい講義だった。これらの音源はどこに保存されているのだろう?

 体癖論ひとつとっても、普遍的人間などいない、ひとつの目盛で人の能力は測れないと言ってるわけで、単純化された物差しを使おうとする現代社会に対しての強烈なカウンターになりうる思想だ。裕之先生が展開してきたものは、もっとラディカルかもしれない。つまり、それくらいの可能性を秘めている。であるのに、この潜在力は、他のジャンルと接続することなく、ここまで来てしまった。なぜか?

 野口晴哉を狭義の「整体」に押し込めていたのは僕らだった。そういうことだ。

稽古日程9月〜

9月から集団の稽古を増やします。
火曜日 11時〜13時 生観法基礎 月3回程度の開催になると思います。
随伴行気、観点といった基礎的知識も学べる会にしたいと思っています。
9月1日(火)が初回です。

ブラジルから女性ひとり稽古にやってくる予定で、その方が参加の場合、バイリンガル運用になります。

稽古日程 ↓

2026年8月30日日曜日

8月の読書

日本で一番美しい県は岩手県である* 三浦英之 柏書房 2025
教育とは何か ティム・インゴルド 亜紀書房 2025
私の幕末維新史* 渡辺京二 新潮選書 2025
青年は荒野をめざす* 五木寛之 文春文庫 2008
日本語のために 池澤夏樹編 河出書房新社 2016

青年は荒野をめざす

  60年前に書かれた青春小説を70歳になった僕が読んで楽しめるか?という興味で読みはじめた。絶対読んだことがあると思っていたのに、どうやらリアルタイムでは読んでないらしい。フォーククルセダーズの歌でこのタイトルを覚えていただけなのか。平凡パンチに連載されたものが1967年に出版されている。一般人の海外渡航が解禁されて間がないころの日本の話。二十歳のトランペットを吹く青年がロシア経由でヨーロッパに渡る。当時の青年のファンタジー満載(この小説がファンタジーを作り出した?)の冒険成長譚。思春期の男の子たちは熱中したかもしれないな。旅の最終目的地がポルトガルだなんて、沢木耕太郎の深夜特急と同じじゃないか。楽しめたか? ツッコミどころ満載だけど、ファンタジー小説として、しっかり楽しみました。上手いなあと思ったのは、解説として収められている、植草甚一の文章だったりするのだけれど。



2026年8月29日土曜日

糸瓜

ヘチマの花が咲いた!
百均で買ってくる台所用のスポンジは、マイクロプラスチックとなって下水に流れていく。ならば、それをヘチマで代替しようとこの春から挑戦してきた。種を買ってきて発芽させる。芽が出たと思ったら、虫にやられる。苗になった段階で地植えに変えると、また虫にやられる。こんなことを繰り返しながら、なんとか、鉢植えから一本、地植えから一本、それぞれ蔓を上に伸ばしはじめた。ヘチマの葉はゴーヤに比べると大ぶりで美しい。さて、実をつけるところまでたどり着けるか。

ちなみに、糸瓜は晩夏の季語。先週の筆動法の時間に書いてみた。





2026年8月28日金曜日

順調

目覚めはゆっくりだ。
生理的欲求で目を覚ますのだが、その欲求の現れ方がずいぶんゆるやかになってきた。トイレに駆け込むわけでもなく、慌てて冷蔵庫のドアを開けるでもない。家人が巻いてくれている煙草に火を点け、ゆっくり煙を吸い込んでいく。これが目覚めの儀式。

順調に老いている、と我ながら思う。
行動半径は日に日に縮まってきている。暑さのせいもあるけれど、人の多い街中に出るのは億劫だし、徒歩20分のコープに行くのさえ面倒くさい。石川も遠いが、月一回のことなので頑張って行く。東京千葉はさらに遠い。先日の整体観法講座も欠席。

耳はますます遠くなる。
集団のイベントへの参加にも腰が引ける。かろうじて、三日間の稽古会には出ているが、果たしていつまで続けられるか。耳が遠くなるということは、耳からのインプットはもう十分ですよと体が言ってるわけで、むしろ、集団からは身を引いて、ひとり思索にふける、来る人だけを相手に稽古する段階に入っているように思う。

と言いながら隠居への道は遠い。

2026年8月25日火曜日

日本語のために

ちょうど十年前に河出書房新社から刊行された池澤夏樹編日本文学全集の最終巻。
これは面白い。古本屋で半額で買えるから、今のうちに手に入れておいた方がよい。
先人たちが日本語をどのように成り立たせようとしてきたかという奮闘の記録が500頁に詰め込まれている。どの頁を開いても面白い。