2024年7月5日金曜日

反穀物の人類史

「ゾミア 」の著者であるJCスコットの「反穀物の人類史」(みすず書房 2019)を読んでいる。なぜ人類は穀物を栽培し定住を始めたのか? 狩猟採集の時代から周辺の環境を変形させながら人類は定住に近い様式で生活を営んできた。その後現れる穀物依存の生活より栄養的には多様性が豊かで豊潤だったのにもかかわらずだ。

穀物育てる労働集約型の生活は人口の密度を高め家畜化された動物の密度を高め、結果、疫病の蔓延を許した。なのにどうして穀物なのか。税金として取り立てやすいのが麦米トウモロコシといった穀物だった故に、時の権力者たちは住民を定住させようとした。定住地から逃亡する者も多かった。人口の減少を食い止めるため戦争をした。奴隷を獲得するためである。国家に寄り添うように、あたかも文明が農耕とともに「進化」してきたように語られてきた定説を覆す一冊。そう人類はは税金取りを養うために定住させられたのだ。

高野秀行 はこの本を読んだ上で「イラク水滸伝」を書いたのか、すごく気になる。なんせ舞台は古代文明が生まれたイラク南部の湿地帯なのだ。時代区分でいえば縄文期 と重なる。おーい、だれかJCスコットに縄文時代のことを教えてやってくれ。