図書館の返却ラックに「自転車に乗って」という自転車にまつわるエッセイを集めたアンソロジーを発見。パラパラとめくったら、目次に夏目漱石の自転車日記というのがあったので、借り出すことにした。
後ろから読みはじめたら、最後から二番目に久世光彦の「自転車の時代」という5頁ほどの短いエッセイも収められている。その中で、久世は石坂洋次郎原作の映画「青い山脈」を通して自転車に憧れた中学生時代のことを書いている。この文章を読んで父のことを思い出した。1925年生まれの父は、久世よりもひと世代上になるから、映画を見たとすれば20代半ばにさしかかっている。
76歳の時に20年ぶりに自転車に乗って怪我をした話は以前、「みーはー」というタイトルで書いたことがある。なぜ、あの状況で自転車に乗ることを思いついたのかはずっと謎だったのだが、久世の文章を読んで、ひょっとして、青い山脈への連想がそうさせたのかもしれないと、ふと思った。三浦雅士の書いた石坂洋次郎の逆襲についても、何年か前このブログに書いた。
父が亡くなって丸十年になるのか。