1日25キロ歩く。おそらく、これが今の自分の適正移動距離。江戸時代の旅日記などを見ると、皆、一日八里32キロを普通に歩いていることを思えば、僕はまだまだひ弱な現代人だ。健脚の人もいる。どこかの宿で一緒だった82歳だという男性など、もう20回も八十八ケ所回っていて、今回は28日で歩く計画だという。1日40キロにもなるではないか。なんか記録に挑戦しているアスリートのよう。
僕が遅速であることは間違いないのだが、その原因が休憩を取りすぎる点にあるのだと気づいたのは、歩き始めて4日目くらいのこと。1時間歩いて10分休んでいたのでは、平均移動速度は上がらない。そうか、もっと長い時間歩き続ければよいのだ。歩みを止めれば体が休まるかというと、あまり関係ない。一旦休憩してしまうと、そこから元の速度に戻るまで、時間が取られてしまうのだ。それからは、休憩の回数を減らしてみることにした。
歩く体になるまで5日くらいかかる。区切り打ちの場合、歩くことに慣れたなと思うころには、もう帰る日が近づいている。おそらく、通し打ちでないと見えてこない風景というのもあるに違いない。