2024年3月22日金曜日

遍路2024 その2

遍路が歩く道には大まかにいって3種類ある。
ひとつは国道。つまり、車が走ってる脇を歩く。もうひとつは旧道。住民の生活道路。もともと車もいっぱい走ってた道なのだろうが、新しい道路ができて車の通行量は少ない。そして、昔ながらの遍路道と呼ばれているもの。多くは峠越えの山道で、昔の名残りをとどめている道だ。多くは土の道だが、中には整備されて砂利やコンクリートが敷かれているものもある。

遍路として歩く距離は、圧倒的に国道が多い。おそらく8割くらい。旧道と遍路道はそれぞれ1割くらいではないだろうか。9割くらいはコンクリートの道を歩くことになる。これは脚にとっては結構な負担になる。やはり、コンクリー道は車のためのものだ。車道を歩くときは、できるだけ側溝の上を歩く。足の下に空気の層があるだけで脚の感覚は随分と違う。車道から一段高いところに歩道を設けているところもあるが、この歩道が曲者で、走っている車から身を守るには有効であるに違いないのだが、歩道自体の中に小さなアップダウンが形成されていることが多く、これは脚への負担を増す。

長いトンネルを歩くと、文明の暴力性を体感することになる。今回、一番長いもので1.6キロのトンネルを抜けたが、苦行以外の何ものでもない。ゴーゴーと重量感のある音が前後左右全方向から襲ってくる。シュシュシュシュという高速回転するタイヤがコンクリートを削る音が加わる。どうして、そんな重い乗り物が、どうしてそんなに急いで、いったい何を運ぼうとしているのか。現代文明の強迫症がダイレクトに伝わってくる。

今回は、高知市から足摺岬まで歩いた。帰途は、その同じ道をバスと電車で運ばれていく。窓の外の風景を眺めながら、時計の針が逆回転していく。やだな。