その音の豊穣さにカルチャーショック。想像していたよりも小さなホールで、客席数は800ほど。若手演奏家によるヴィヴァルディの「四季」をメインに据えた演奏会だったのだけれど、音の響きにちょっとたまげた。なるほど、こんな音を求めて、多くの日本人がヨーロッパを目指したのかと、ドイツ稽古会のメンバーである演奏家ひとりひとりの顔が瞼に浮かんだ。ここで、フルオーケストラの演奏を聴いたらどんな感じなんだろう。おそろしや。
まったく余談なのだが、父はミーハー・クラシックファンだった。要するに、有名どころーあの時代だと、カラヤンとかーのレコードを買ってきては、居間に鎮座するステレオで聴いていた。母が亡くなって何年もしないうちだと思うのだが、ある時、帰省したら馬鹿でかいプラズマテレビが置いてあってたまげたことがある。自宅では14インチのテレビを観ていたのに、実家に帰ると大型テレビ、といっても32インチか40インチくらいのもので、今となっては珍しくもないサイズなのだが、1990年代では、まだ珍しかったし高価だった。で、正月になるとNHKのBSで放送していたウイーンフィルのニューイヤーコンサートを嬉しそうに観て、「いつか行きたいな〜」などと宣っていた。そのニューイヤーコンサートが開かれる会場で音楽を聴いてきた。きっと、天国で喜んで、あるいは羨んでいることだろう。僕も、これからは、ミーハークラシックファンJr.を名乗ることにしよう。
