一緒に歳とっていく作家というのがいて、僕にとっては、池澤夏樹はそんな中の一人。夏の朝の成層圏 がデビュー作で1984年とあるから作家デビューとしては遅い(1945年生まれ)。この作家が北海道生まれだからなのか、いわゆる理系だからなのか、その透明感のある文章に惹かれて、ずっと読んできた。マシアスギリの失脚の一章一章を寝床に入って読むことを無上の悦びとしていた時期もある。このノイエ・ハイマートは新作。ドイツ語で新しい故郷。難民という現代におけるキーワードを題材に、他の人の作品を含む過去と現在の文章をコラージュした作品になっている。
小松左京 は日本沈没を、日本人が国土を失い難民化していく様を思考実験として書いたという。自らが難民となることを空想の外に置いておけるほど安閑の地に僕らは暮らしていない。
