どこの国に行っても、その国の食事に適応し、日本食を恋しく感じるなんてことはないというのが僕の自慢だった。なので、海外旅行に日本食を携えていく人の話が理解できなかった。ところがである。今回、旅の十日目くらいに、お世話になっている知人宅で、ご飯に味噌汁、それと納豆が食卓に並んだときは、もう感動してしまった。
ドイツの人はよく食べる。現地化した日本人もよく食べる。チーズ・バターといった中身の詰まったものをよく食べる。ケーキもでかい。実際に日本のものに比べてどれも美味しいから、最初のうちは勧められるままに食べていたのだが、3日もすると、ベルツ博士の話に出てくる車夫状態になってしまった。胃がもたれて苦しい。
近代栄養学の始まりは19世紀のヨーロッパ。なんといっても、nutrition science、つまり科学である。日本の栄養学も、間違いなくヨーロッパ発祥の近代栄養学の輸入から始まっている。ドイツの人たちは、本家だけあって、栄養学に洗脳されている度合いが高いのではなかろうか。
整体の食に対する姿勢は、「食べたいものを食べたい時に食べたいだけ食べる」と至ってシンプルである。その食べたいという欲求は本物なのかを問うところが真骨頂で、放縦さからは遠い。入力と出力の間の感受性という人間的な要素が入ることで、機械的身体観とは一線を画す。なにより「少なく食べてたくさん働く」ことを整体と呼んでいる。
帰ってきた日の夜の食事は素麺。地植えしておいた大葉が巨大化していたので、庭から摘んできて薬味とした。
