2026年9月8日火曜日

書字計算法

 あまりにも暑い日が続いていたので、地球は「熱死」に向かっているにちがいないと考えた。昔々、この熱死をテーマにしたSFを読んだ記憶があるのだが定かではない。エントロピーが飽和して動かなくなった世界。図書館で、この言葉をキーワードに検索したら『停滞空間』というタイトルの短編集が引っかかってきたので、借りて読むことにした。どっかの図書館の書庫で眠っていたらしい。アイザック・アシモフなんて、懐かしい名前ではないか。自分の読書ノートを探っても、ここ40年間、アシモフの名前は出てこない。さかんにSFを読んでいたのは20代まで遡るらしい。

 この短編集に収められているのは、1950年代の作品。まだ、コンピュータは黎明期でしかない。なのに、AIを思わせるコンピュータが人間のすべての問いに答える「世界のあらゆる悩み」、人が自分で計算することができる能力を有することが奇跡とされる「ナンバー計画」等々、今の時代を予言する小説が連なっている。

 「ナンバー計画」は書字計算法という、僕らのいう筆算の話。その中に、17x23という2桁同士の掛算が出てくる。思わず、紙の上で筆算してみる。問題なくできて一安心。次に出てきたのが5738x7239という掛算。4桁の掛算なんて、随分やってないぞと思いながら、これにも挑戦。指で繰り上がりの数を数えたり、ちょっと苦労しながらやり遂げる。

 お目当ての、僕が熱死と考えていた小説は含まれていなかったが、頭の体操はできた。次は6桁くらいの掛算に挑戦してみようか。ぼくらは、計算機が叩き出す数字を正しいと信じているが、本当に正しいのか、一度確認した方がよい。