2015年4月10日金曜日

永続敗戦論

■読みたい、或いは読まなきゃと思っていても頁を開く勇気を持てない本がある。「永続敗戦論」もそんな一冊で、いずれ読まなくてはと思いながら、なかなか手にすることのできない本だった。書評やいろんな人の紹介、意見を見ながら、きっと自分が読みたい内容がここにある、ということは重々承知していても、「読んだあと、顔面に強烈なパンチを見舞われ、あっけなくマットに仰向けに倒れこむ心境になった。」(水野和夫)にはなりたくなかった、ということなのだ。■311のあと、この国の当事者能力のなさを目の当たりにして、「我々は信託被統治国になるのが相応しい」と心底思った。その後、様々な書籍等で明らかになったのは、「日本はそもそも独立国ではなかった」という身も蓋もない現実で、生きる気力をなくしてしまうほどであった。そんな状態のなか、憲法成立の過程を辿ったり、安保関連の本を読み進め、ようやく「永続敗戦論」に辿り着いた。311から4年、この本が出版されて丸2年になっていた。私が買ったものも奥付けには18刷となっているから、5万10万の人たちがこの本を読んでいることになる。■はい、読みたい内容はすべて書かれていました。結局、昭和天皇と大岡昇平のやりとりに尽きる。