お遍路で日和佐
今回は22番平等寺から23番薬王寺
できれば、その先の室戸岬まで
お遍路をはじめて地図を見たときに日和佐という地名が目に飛び込んで来た。ここから室戸に向かう道は、僕が十代後半、ひとり旅をはじめた最初期の頃通った道なのだ。おそらく、初めての太平洋は、ここの海だった。山の中で育った僕にとって、川が海に注ぎ込む風景は実に新鮮で、その風景に長らく見とれていた記憶がある。この先、四国の東海岸を南下していく中で、その見惚れた風景がどこのものであったか確かめられるかもしれないという密かな期待もある。とはいえ、半世紀も経てば風景も違ってしまっている可能性が高いのだが。
先を急ぎたいのか、そうでないのか、判然としない。妙な宙ぶらりんの感覚にとらわれている。通り過ぎる町に再びやってくることはないだろう。かといって、遍路は先に進むことを求められている。その凌ぎ合い。それとも早く家に帰りたいだけなのか。
薬王寺境内から日和佐の町を望む