2024年4月25日木曜日

身体観の変遷

 これまで、身体観の変遷という話をする時に、「明治維新」「経済高度成長期」の二つを画期としていた。ところが、今回、外で話をすることになって、あらためて身体教育研究所の30年を振り返るなかで、この30年もまた、身体にとってとんでもない時代であったことに気づくことになった。

 ウォークマンの出現したのは、僕が留学生関係の仕事をしていた1980年の前半(初代発売は1979年)のことなのだが、学生と連れ立って出かける折、歩きながら、あるいは電車の中でウォークマンに聞き入っている様は、異様に思えたし、せっかく海外の地に身を置きながら、周囲の出来事に注意を払わないとは、なんともったいないことかとため息をついた覚えがある。

 そこから、時代はPCが跋扈する時期に突入し、さらには携帯電話、そしてスマホと移ろっていく。もはや、で電車の中でスマホ画面を眺める人間が多数派を占め、歩きスマホという言葉が出てくるくらい、人は、自分の周囲に注意を払わなくなってしまっているのだ。

ここ40年の新製品、新サービスの出現を時系列で並べてみると、こんな感じ。
1979 ウォークマン登場
1981 pc-8801販売開始
1986 ニフティサービス開始
1994 インターネット
2000 携帯電話
2007 iPhone登場

 僕自身、新しもの好きの元電気少年だったから、なんだかんだといって、テクノロジーを追いかけてきたし、仕事でも率先してパソコンを使ってきたから、目くそ鼻くそを笑う体なのだが、稽古することで、かろうじて体を失くさずにここまで生き延びてきたとも言えなくもない。ここからは、「便利」をひとつひとつ手放していくしかない。