2025年2月27日木曜日

2月の読書

本屋がアジアをつなぐ* 石橋毅史 ころから 2019
沸騰大陸* 三浦英之 集英社 2024
外国語を届ける書店* 白水社編集部 白水社 2024
コペンハーゲン* マイケル・フレイン 小田島恒志訳 劇書房 2001
スペイン サンティアゴ巡礼の道* 高森玲子・井島健至 実業之日本社 2016

2025年2月20日木曜日

遍路2025 運ばれる哀しみ

四国遍路4年目。
38番札所金剛福寺にお詣りし、ここから歩きはじめる。
目指すは土佐路最後の札所39番延光寺。
日差しはあるが風は冷たい、しかも向かい風。
竜串の宿にたどり着いた時には結構へろへろ。
足裏にマメもできている。

2日目の宿は28キロ先の大月町。
この状態でたどり着けるのかやや不安。
途中の大浦分岐までバス移動にする。
距離にして13キロ。徒歩でいけば3時間の距離。
ここまで一筆書きの歩き遍路できたが、はじめて足裏が地面を離れることになる。

大浦分岐でバスを降り、月山神社を目指す。
途中から大月遍路道に入る。
月山神社に詣で、さらに進むと赤泊に降りる遍路道に入る。
よく整備されているが、滑落しそうな崖縁の部分もある。
地元小学生の応援メッセージが木の枝にたくさんかけられていて、つい読んでしまう。

遍路道を抜けるとあとは海岸沿いの道。
海沿いとはいえ、アップダウンは多い。
最後の上り坂を登り、日が高いうちに宿に到着。
バス移動の効果は大きい。
陽が傾いてからここまでの道を歩けば、ずいぶん心細かっただろう。
この日、すれ違った人ひとり。
道端で猿一匹と遭遇。

最終日。
ときおり、雪が舞っている。
バス3本乗り継いで延光寺。このあっけなさはなんだ。
不完全燃焼感は残るが、ともかく遠かった土佐路最後の札所にたどり着く。

さてここから先どうしよう。





2025年2月18日火曜日

SKIMA

4年前、コロナ禍の真っ最中、リモートで稽古したベルリン在住のダンサー/コレオグラファー、Lina Gomezさんから、そのときの稽古にインスパイアされ、「SKIMA」という作品が出来上がったというメールをいただいた。こんな風に作品化できるんだと、ちょっと感動。オンラインだけで、まだ本人とはお会いできてないのだけれど、この夏会えることを期待している。

https://vimeo.com/user21474509/skima





2025年2月14日金曜日

動く

 当時の僕らは、いつ師匠は整体の決定版を打ち出してくれるのだろう、そんな期待を持って日々稽古を続けていた。明日こそ、来年こそ…。師匠もまた、これこそが整体だ、と言い続けていた。ところが、その決定版の賞味期限は短く、今日これと言っていたものが、その翌日には、あれは間違っていたと覆される。へたをすると朝のコマで言っていたことが夜には否定される。このように日々期待を裏切られることが日常茶飯で、師匠の君子豹変ぶりに僕らはくたびれ果てていた。この当時が、いつのことであったのかすっかり忘れてしまったのだが、本部稽古場が始まって十年も経ってない頃ではなかったか。

 そんな日が続くなか、ある晩夢を見た。ジェットコースターに乗って自分が運ばれている。あるいは、キューブリックの「2001年宇宙の旅」の最終盤、ボーマン船長が光の中を超高速で落下していく様、そんな動きの中に身を預けている、そんな夢だった。「そうか、この運動の中だけに真実はあるんだ」とその刹那得心した。たった一瞬のことで、すぐ忘れてしまったのだけれど、その時の感覚だけは今でも体のどこかに残っている。

 この夢以来、「決定版」を待ち望むことは無くなった。



2025年2月13日木曜日

宇宙の途上で出会う 3

フレインの戯曲に寄り道し、映画「オッペンハイマー」をAmazonで見直しつつ、ようやく序章を終える。ぼくのお遍路のようによろよろと進行中。

引用していけばきりがないけれど、とりあえず次の二つ。

それによって彼(ボーア)は「私たちは理解しようとしている自然の一部である」という彼が量子力学の教訓の核心であるとみなすものにたどりついたのだ。(p.48)

つまり、通常の「相互作用」が相互作用に先立って個別のエージェンシーが存在すると仮定するのとは対照的に、内部作用の概念は、個別のエージェンシーが先行するのではなく、むしろその内部作用を通して出現すると認識するのである。(p.55)

と、こんな風に議論は進んでいくのだ。
ちょっと、面白くないですか?



2025年2月9日日曜日

宇宙の途上で出会う 2

新刊本到着。
図書館本で3章160頁まで読んでいた。
その続きから再開しようとしたのだが、なんと読めない。
え、なんで? と訝ったのだが、つまりこういうことらしい。
お前は、この本のページをまだめくってないのだから、最初から読まなくてはならん。
そんな風に本に指令されているかのようなのだ。
たしかに納得できる言い分ではある。
つまり、読書体験とは、1頁1頁順番に紙をめくり手垢を付けていく行為なのだ。
指令に従って、最初の頁から読みはじめた。
1回目の時よりも、言葉がスッと入ってくるような気がする。

序章において、バラッドはマイケル・フレインの戯曲『コペンハーゲン』を俎上に上げる。1941年、ハイゼンベルグはコペンハーゲンに住むボーアを訪れ、原子爆弾製造に関わる重要な会話がなされたとされる。この逸話を元に書かれた戯曲。安易なアナロジーは何も産み出さないことを読者に伝えんがために、この戯曲を取り上げているのだが、ボーアとハイゼンベルグがどのような関係にあったのかという基礎知識を得るための、この戯曲に寄り道することにした。





2025年2月7日金曜日

稽古日程の変更について

大雪の影響で今月の白山稽古会の日程が変更になりました。
2/9 → 2/23 
それに合わせて、等持院稽古場の稽古日程も変更されましたのでお知らせします。

2025年2月5日水曜日

十年

 寒中見舞いに「第二次京都暮らし十回目の新年です」と書いて、そうか、十年前はまだ横浜で暮らしていたのだと思い至った。自分が十年前、どんな状態にいてどんなことを考えていたのか。当時のブログー私的備忘録を読んでみる。妻を看取り、父を看取り、寂しくなって冬の寒さが堪えていたらしい。「ダナン」(2月9日)という項目で暖地への脱出を計画し始めている。「前にすすむ」シリーズを書き始めたのは5月のことで、この年の9月に京都に引っ越してるなんて予想もしていなかった。怒涛の一年、いや十年の幕開けだった。