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皮膚からの排泄というのはこれまであまり経験したことがなかったから、今年に入ってから続いている原因不明の痒みには少々というか大分参っている。皮膚というのは神経系の反映されるところだし、また胸の系統でもあるから、一昨年来続いている精神疲労が皮膚からの排泄として起こっていると考えるのが妥当なところ。文字通り体中ー手足、腹、胸に麻疹状のものが出てきて、痒くて仕方ない。痒みにこんなにも種類があるとはしらなかった。ピリピリ、チクチク、ゾワゾワ...。アトピー等皮膚系の問題をかかえている人への共感度は増した。
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父の最期、脱水症状からくる、皮膚の痒みをずっと訴えていた。医者が処方する軟膏を塗りたくって痒みを抑えていたのだが、今回の麻疹騒動は、まるで父の痒みを僕が受け継いだかのようだった。そう考えれば、この痒みと向き合おうという気にもなる。ただ、予想よりもずっと長びいている。痒みが出てきて、それが疱疹を形成しはじめ、中心に核がつくられ、それが時間とともに固まって、そして剥落していく。これの繰り返し。一月にはじまった痒みは二月がピークで、痒みで明け方まで眠れない状態が続いた。三月に入って少し落ち着いてはきたものの、一進一退。微熱がずっと続いているような状態だ。まあここまでが第一段階。
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4月に入ってから、明け方、胸に汗をかくようになった。半端なかきようではなく、文字通りぐっしょりといった状態で、日によっては二回下着を取り替えるほどの汗である。腕にも汗をかくようになった。ある日、やや熱が出てる感じがしたので、体温計を引っ張り出して測ってみると、なんと9度の熱。発熱するの十年ぶりくらいのことではないかな。この風邪を上手く経過させれば変わりそうだと、丁寧に身体を見ていったのだが、体温が平温に戻った後も、明け方の発汗は続いた。
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風邪は一段落したものの、皮膚に関しては大きな変化はない。ここから、予定していたベトナム行きが始まってしまうのだが、タイミングとしてよかったかどうかは疑問。直前キャンセルということもできたのだが、この気候の変化がどういう影響を与えるか、自ら人体実験する方を選んでしまった。もともと今回のベトナム行きには、季節を前倒しするという目論見もあった。今年4月の花冷えは尋常ではなく、中旬まで桜の花が枝にしがみついていた。そんななかでのベトナム行き。10℃~20℃の世界から、一気に25℃~35℃の世界へ。
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ベトナムに着いてからも明け方の発汗は続いた。日常から離れるのはいいとしても、持ち合わせの下着の数は限られてくるから、洗濯をどうするという問題が出てくる。そして冷房への対処法。暑い国において、冷房というのは大体において過剰。昼間の起きている時間帯であれば、上着を羽織ることで対応できるのだが、問題は夜。どれくらい冷房をコントロールできるかという設備面は、宿のランクによって随分違ってくる。一箇所目のホイアンという町で泊まった宿は石造りということもあって冷房はいらなかった。問題は、二番目に泊まったフエの宿。フエという町はちょっと内陸にあるせいか、暑さが半端なく、また夜になっても涼しくならない。仕方なく冷房に頼ることになるのだが、この冷房設備が古くて細やかな制御ができない。汗かいているところに冷房が直に当たるのだけは避けたい。当初の予定を切り上げてダナンに移動することにした。ホテルのランクも少し上げることにした。
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発汗のプロセスというのは面白い。外気温とはあまり関係ない。明け方になると汗をかく。一気にどっと汗が出てくるのだが、皮膚の深いところから汗をかいている感じはあまりない。汗をかいて、それを拭き取って着替えると、そこからやっと深く眠れる。だから仕事以外で午前中の予定が入れづらい。休みの日など、気がつくとお昼だったということもある。身体は確実に変わってきている。勿論、改革されて来ているという意味だ。さて、あとどのくらい時間がかかるか、まだ分からないが、当分、この痒みと付き合っていくことになりそうだ。