橋本治の「義太夫を聴こう」とブレイディみかこの「ヨーロッパ・コーリング」を交互に読んでいるうちに大晦日が暮れていった。遠くからゴーンという鐘の音が聴こえてくる。いや遠くない。炬燵から出る気にはならず、今年はこのまま年越しかな~、などと思っていたが、体は勝手に動きだし、稽古袴の上にオーバーパンツをはき、羽織の上に着物用のコートを着て、頭にはウールの帽子、手袋もはめ、足元はブーツという完璧ないでたちで等持院を目指していた。87番と書かれた紙切れをもらい行列に加わる。空を見上げると星が綺麗。オリオン座がよく見える。鐘をつかせていただき、そのまま六請神社に流れ、お神酒をいただいて家に戻れば、もう1時近い。読書に戻る。
布団に入ったのが3時なのに9時前には目が覚めてしまう。しきりに裕之先生に尻を叩かれてる夢をみた。はいっ。布団から抜け出し、いつものように、火起こしに炭を入れ、ガス台に載せて炭をおこし火鉢に移す。長着に着替え帯を締める。前の日の夜から鍋に入れておいた昆布を取り出し、スルメは入れたままで沸騰させる。鶏肉も入れ、さらに調味料を加える。これで雑煮用の出汁の完成。生協で買っておいたひとり用のおせちを漆の皿に移し、それに自作の黒豆を添え、それらしく見せる。買っておいた小ぶりの丸もちを茹でる。せめてお屠蘇くらいいただこうと、引越し前に赤尾さんにもらった黄色の可愛いお猪口を取り出してくる。随分手抜きだけれど、とりあえず正月気分。あけましておめでとうございます。
郵便受けをみると年賀状が届いている。いやー、ご無沙汰してる方たちに返事出さなきゃ、と書きはじめたのがこの文章。本年もどうぞよろしくお願いいたします。