公私について考えている。英語で言えばpubicとprivateということになるのか。
一枚の絵画が来たことで、書斎として使っていたーつまりprivateな空間が、応接間ーpublicな空間に変身してしまった。ひとりで暮らしていた時は、privateな空間とはいえ、男子の更衣室としても使われていたから100パーセントprivateであったわけではない。二人暮らしを始めるにあたって、この書斎のprivate性は強くなるだろうと予想していたのに、事態はまったく逆方向に動きはじめた。実際、数日前、珍しく10名を超える稽古会をやった時には、参加者全てを書斎/応接間に招き入れ、そこが茶飲み場と化した。不思議な気分だ。この家に足を踏み入れたひとは、いったい僕らがどこで生活しているのか、見えてこないのではないか。日本家屋はもともと部屋が多機能に使われてきた。それでも、他人が足を踏み入れることのない空間は確保されていたのではないだろうか。この家の中に、そのような空間はない。僕らは、稽古場という小さなテーマパークのコスプレ住人になってしまったかのようである。