2020年4月18日土曜日
アイボディ
(片桐)ユズルさんが懇意にしている「目の使い方」専門のピーターという人がいて、ユズルさんは、その人が書いた「アイボディ」という本の翻訳本を出したりしている。その英語版が改訂されたので、目下、日本語版にも手を加える作業を続けているユズルさん(89歳)から、手伝ってほしいという声がかかった。改訂されている部分を確認するために日本語と英語の読み合わせが必要とのこと。ぼくも暇なので、お手伝いすることにした。といっても、旧版の日本語を読み上げていくだけ。アイボディにも、そのベースになっているアレキサンダーテクニークについての予備知識はぼくにはない。アイボディは、同調的な観察をもとに技法は組み立てられているらしいのだけど、それを眼球や脳の解剖学的知見に結びつけようとしているから、いざ教えようとするとイメージに依存せざるをえない。そんな印象。「ピーターはできる人だけど、後継者はなかなか育たないでしょう?」と訊いてみると、「そうなんだよ」とユズルさん。毎年、ピーターを日本に呼んで、ワークショップやら個人レッスンを企画しているユズルさんとすると、そのあたりが悩みの種らしい。アイボディが同調的技法を用いているといっても、根本のところの世界観がちがうから、ぼくらの稽古とはすれ違う。内観の稽古を通して結果として視力が改善されてきた経験(去年、運転免許の更新に行ったら、眼鏡不要と言われてしまった)からいえば、高い授業料を払ってワークショップに出るより、稽古に来たほうがよいのに、などと思ってしまうけれど、当面、アイボディ稽古場版をやる予定はない。最近の稽古で取り上げているのは(感覚の)容積空間。これを目でやるとほんと面白く、目の容積空間が捉えられるようになると、それだけで視野が広がる。こんどユズルさんにも教えてあげることにしよう。