2023年4月21日金曜日

証し

最相葉月さんの「証し」(KADOKAWA  2022)を10日かけて1000頁を読了。サブタイトルは日本のキリスト者。何ヶ月か前、本屋で手に取り、「いずれ読むべき本」リストに加えられた。最相さんの本は結構読んでいる。対象との距離の取り方が上手で、ちょっと理系っぽい文体も好きだ。

身近にキリスト者がいないわけではない。全般的に言えば「良い人たち」。でも、「北海道生まれの人たちは皆んないい人」と同じくらい、ステレオタイプな印象を持っているに過ぎない。 数千人に取材し、それを千頁の本にまとめた貴重な証言集。戦争があって震災があって...。日本という国に住む住人として、同じ時代をキリスト者というマイノリティとして生きてきた人たちの記録でもある。 量が語るものというのはある。

自分自身のキリスト教との関わりを思い出してみると、意外に近くにあった割に、教義については驚くほど無知なままでここまで生きてきた。それが逆に不思議でならない。 

僕の最初の英語の先生である阿部青鞋先生は俳人であり、そして牧師でもあった。1960年位のこと。でも、その俳句とキリスト教との関係を論じたものを目にしたことがない。 僕が20代から30代で繋がっていた大学はクエーカーが始めたもので、その大学の京都センターを率いていたJack Hasegawa氏はハーバードの神学校の出で、同志社に来てたんじゃなかったっけ。でも、彼とキリスト教の話をした記憶がない。 当時、その大学の関係者は、独裁政権下にあった韓国の人権運動支援に関わっていて、そのつながりで、僕自身、ソウルのFriends Meetingに出席したこともあるし함석헌 (ハム・ソクホン)先生にお会いしたこともある。1980年代の前半。 

こうして振り返ってみると、ここに挙げただけでなく、まだ他にもあるのだが、かすりながらも見事に出会ってない。これはキリスト教に限ったことではなくて、宗教と出会ってないのかもしれない。自分が仏教徒かどうかも怪しくなって、最近はお葬式に数珠を携えることさえをしなくなった。なのに四国を歩き、お寺では般若心経をよみ、真言を唱えているのだ。