2012年6月18日月曜日

リアルということ

三ヶ月近く続いた病院通いも終わった
妻が退院して三週間、今後の治療方針も決まったので、
僕が付き添って病院に行くことはしばらくないだろう

病院という未知の世界に足を踏み入れ、
医療のイメージはずいぶん変わった
ひとことでいうと、病院とは「医療」のテーマパーク
今日はCT、明日はMRIといった感じで、検査という名のマシンに並ぶ
手術にいたっては、
患者の側も「体を張っている」わけで、緊迫感がある
医者も看護婦も基本、善意の人たちで、献身的に一所懸命働いている
それはもう疑いようはなくありがたい

でも、なぜかリアル感に欠ける
この欠落感は謎で、いまだに謎である
病室に毎日通っていると、病室を舞台に悲喜こもごも、
いろんな出来事が起こっている様子を窺い知ることができる
でも、なんかみんな役割を演じている
そんな感じを拭えない

医療行為のベースに点滴というものがあることを知った
延命治療と呼ばれているものは自分とは無関係なものと思っていたが、
病院に一歩足を踏み入れると、すでに延命治療に通じる最初の階段を登っている
いつも懐に「生に関する御処置無用のこと」という一文を携えていながら、
気づかぬうちに最初の境界線を越えてしまう可能性があることを知った

妻は医療を受けるという選択をしたし、
そうすることで命を延ばすことができた
でも、僕自身は医療テーマパークとのお付き合いはここまでとしたい
青臭いといわれようとも