Tさんが指定してきたのは、お洒落なオープンカフェ
約束の時間より少しだけ早く着いたので、
入口の見える席に陣取って待つことにした
しばらくして、見覚えのある顔が入ってきたーTさんの娘
ずいぶん会ってないが、この春、高校生になったことは伝え聞いている
ほどなくTさんも現れ、Tさん、Kちゃんと三人でひとつのテーブルを囲んだ
制服姿のKちゃんを見られるとは...
なまじ赤ちゃんの頃から知ってるから、なんだか余計に気恥ずかしい
家族の誰よりもしっかりしてる子だったから、
普通の高校生の格好をしているというだけで嬉しい
ところで、このお店のシラスピザは美味かった
元気をもらった勢いで江ノ島まで足を伸ばすことにした
江ノ島は三年ぶり、江ノ電に至っては乗るの十年以上ぶりだ
午後の遅い時間だったから、帰途に着く人の流れに逆らうように参道入口にたどり着く
タコ煎餅に齧りつく姿を自撮りする若い中国人観光客を横目に参道を登り江島神社にお参りする
そうだ、前回妻と来た時におみくじ引いたなと
百円玉一枚放り込み、おみくじをひとつ
凶!
だいたいが僕は中吉、小吉の人だから、これまで凶を引き当てた記憶がない
失せもの戻らず、待ち人も来ずとないないずくし
何も期待せずいまを粛々と誠実に生きよ
まったく心憎いくらいぴったりではないか
思い出の場所を訪ねる
不在を確かめるために