北野天満宮のお茶会で正客をつとめてきた。等持院稽古場に稽古に見えている若い人がお茶を習っている先生主催のお茶会で、後進育成の場となっている。昨年秋、その若い人が亭主デビューするというので伺ったのが最初で、今回は二度目。
待合から会場の部屋に通されると客同士の正客の譲り合いがはじまった。案内役の男性が、年季を積んでそうな常連のひとたちに声をかけるのだが、みなさん遠慮される。まさか、僕は声をかけられないだろうと高をくくっていたのだが、なんと声をかけられてしまった。男性で年配で稽古着姿でもあったので、それなりに貫禄ある人に見られたのかもしれない。正客が決まらないとお茶会ははじめられない。われながら厚顔にもほどがあると思ったのだが、その程度には厚顔だったらしく、ありがたく引き受けることにした。
正客の席に坐っておどろいた。風景がまるでちがって見えるのだ。炉の際で天井からぶら下がった釣り釜に手を延ばせば届くほど。なんとも贅沢。お道具をもって現れたのが例の若い人であったのには驚いた。炉を挟んだ向こう側で亭主がお茶を点ててくれる。お菓子をいただき、お茶をいただき、亭主とのやりとりの仕方は、隣に座ったご婦人に教えていただきながら、無事、お茶会終了。正客贅沢。