知り合いに譲っていただいた観能会のチケットを片手に、生まれて初めてお能を観に行った妻、帰ってきて開口一番、「わたし、お能を習ってみたい」とおっしゃる。来ました。チケットを届けてくれた方の伝手をたどって、そのお能の会にも出ていらっしゃった能楽師の先生を紹介していただくことに。ぼくの古い友人の友人の奥さんが、その先生に習っているというので、付き添いをお願いして稽古見学に。これには僕も随行。稽古場のあるお屋敷に入ると、なんとそこには能舞台。能舞台の横で、先生と生徒さんが差し向かいで謡の稽古をしている。謡に続けて、仕舞いの稽古。これは能舞台に上がる。なんと贅沢な環境。その場で入門をお願いして帰ってきた。初観能から十日目の出来事である。ことが運ぶときは、こんな感じ。とうとう一生ものと出会ったんじゃないかしら。初稽古は二週間後。