自宅で映画を見られない性分である。リモコンが手元にあれば操作したくなるし、怖い場面などあれば、そこで停めてしまう。つまり集中力に欠けている。なので映画は席を途中で立てない映画館という強制力が働く環境下でしか観られない。年取ってよかったことのひとつに映画をシニア料金で観られることで、というか、これくらいしかメリットはないのだけれど、一本1200円。こないだまでは1100円だったから8パーセントも値上がっているのはけしからんと思うのだが、映画の適正価格ってこんなところだろう。
京都に戻ってきて4年になる。主に通っているのはシネコン3軒、ミニシアター3軒。いずれも、バス一本1時間以内にたどりつける距離にある。自転車漕いで行った方が便利な小屋もある。平日の昼間、映画館に行けば、当然のことなのだけれど、観客の年齢層は高い。ぼくもワンノブゼム。面白い映画はミニシアターに多くかかるけれど、できるだけ大画面で観るのが好きなので、シネコンに足を運ぶことの方が多い。今年はとくにハイペースで、一番映画を観ていた十代後半の頃に次ぐ頻度で映画を観ている。それでも、今年観た中で一番面白かったのは1982年に撮られた「ブレードランナー」であり、1968年公開の「ワンスアポンタイムインザウェスト」だったことを思うと、つまり、映画のピークは1960年〜80年くらいに終わってるのではないかとも思ってしまう。
この場所が映画の撮影所だったことを話すと、映画に興味を持っているひとは身を乗り出してくる。このことは、以前書いたのでそちらを参照のこと → 等持院撮影所年譜 https://dohokids.blogspot.com/2016/07/blog-post_5.html たまに太秦映画村の近くを自転車で走っていると、大型バスが並んでいて賑わっているようだが、いちども足を踏み入れたことはない。でも、太秦界隈を歩くと、映画全盛時代の痕跡があちこちに残っている。昭和レトロな太秦商店街そのものが、映画のセットのようでもある。