2019年12月30日月曜日

12月の読書

名文探偵、向田邦子の謎を解く* 鴨下信一 いそっぷ社 2011
銃・病原菌・鉄(上)* ジャレド・ダイアモンド 草思社 2000

 ハノイ滞在中、戦争博物館というのがあるというので見学に行ってみた。軍直轄の博物館のようで、国威高揚を目的としている。展示のしかたなど洗練とはほど遠いものなのだけれど、フランス、アメリカを相手に数十年にわたる戦争を戦いつづけたプライドは伝わってくる。屋外に戦闘機、戦車が無造作に置かれているのだが、目を引いたのは、撃墜された米軍戦闘機(だとおもう)が地面に突っ込むかたちで置かれている「作品」だった。これまで目にしたことのなかった兵器を間近でみてー触ることもできるー戦争は金属によって戦われているのだと合点がいった。兵器は金属の塊であり、そして、美しくない。たしかに、鉄が使われるようになって、農業の効率は格段とあがったというのは、人類史の教えるところであるが、同時に、ヒトは簡単にヒトを殺せるようになってしまったのだ。なんと業深いことだろう。正月休暇の本として、ダイアモンドの著作を選んでみた。