2020年1月30日木曜日

1月の読書

近現代日本の民間精神療法* 栗田英彦・塚田穂高・吉永進一編 国書刊行会 2019
女たちのテロル* ブレイディみかこ 岩波書店 2019
いぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー* ブレイディみかこ 新潮社 2019
震災風俗嬢*  小野一光 太田出版  2016
銃・病原菌・鉄(下)* ジャレド・ダイアモンド 草思社 2000
犬養毅*  時任英人 山陽新聞社 2002
日蓮主義とはなんだったのか* 大谷栄一 講談社 2019
近くて遠いこの身体(からだ)* 平尾剛 ミシマ社 2014

2020年1月22日水曜日

近代日本の民間精神療法

できるだけ本は図書館で借りて済ますようにしているのだけれど、昨年あたりから、リファレンスの多い分厚い本に挑戦する機会が多くなってしまい、結局、蔵書を増やす結果となっている。こないだ買ってきた「日蓮主義」の本もそうだが、この本も買ってしまうことになるのだろうか。アカデミズムの中で、整体がどのように扱われているのかに興味は勿論あるのだけれど、むしろ、次のような問題意識は、僕自身のものと重なっている。さてお手並み拝見、という感じで読みはじめたところです。

日本近代の科学思想はどのように形成されたのか。歴史的にみるならば、英·米·独·仏·蘭など西欧各国に由来するさまざまな科学思想が、制度化された概念装置がない段階の知的世界へと無秩序な奔流のように流れ込んだことによって形成されたのが、日本近代の科学思想の原型であった。欧米由来のさまざまな科学思想は、翻訳され、紹介され、断片化された形で近代日本の知的世界に移動され、その世界のなかで、欧米においては存在しなかった関係性が作られ、新たな意味が形成された。そこに起きたのは、個々の思想の移植ではなく、個々の思想が互いに関係をもつための新たな言説空間が日本語で形成されたという出来事である。そして、その言説空間では古来の思想と西欧科学思想が混交体を生じ、合理性と神秘性、普遍性と特殊性、近代と前近代、科学と科学外、西欧と日本との往還といった現象がしばしば起こっている。(p.52)




2020年1月9日木曜日

日蓮主義とはなんだったのか

父から受け継いだものを手がかりに、曽祖父角三郎の素性を探ろうとしているのだが、ようとして進まない。家族の伝承として、「朝鮮で犬養毅の身辺警護に当たった」というのがある。等持院稽古場に掛かっている犬養さんの揮毫は、曽祖父に贈られたものであることは間違いがない。どういうかたちで犬養さんと出会ったのかは不明。同郷ということで可愛がってもらった可能性はあるだろう。承政院日記という李氏朝鮮時代の役所の記録に曽祖父の名前を見つけて驚いた。「慶尚北道警察部勤務・警部」とある。1910年、つまり、李氏朝鮮が消滅し日韓併合が行われた年だ。日本帝国主義の先兵として朝鮮半島に居たらしい。しかも警官として。この事実を知るだけで頭ががくらくらしてくる。その後、警察官として国内を転々としたらしい。国立国会図書館のデータベースの中にあった大正6年(1917)の「警察新聞」に深川洲崎警察署長の肩書きでインタビューに答えている。もうとつの手がかりが本多日生の手による「ご本尊」。これも宛名が角南になっている。日蓮宗系の御本尊は真ん中に「南無妙法蓮華経」と大きく書かれ、それを取り囲むように、ありとあらゆる神仏の名前が書かれているのだけれど、ひとつ完成させるのにえらく労力がかかりそうなのだ。こんなもの偉い坊さんが、一介の信徒にわざわざ書いて渡すか? どう考えても、角三郎さん、日蓮主義に深く関わっていたとしか思えない。おまけに、まったくの偶然なのだけれど、亡くなった父が最晩年を過ごしたのが国柱会の運営する老人ホームだったりする。五年前にこれにつながることを「日蓮宗のことなど」と題して少し書いているのだけど、調査はなかなか進展してこなかった。ここにきてやっと手がかりになりそうな本と出会った。昨年出版された『日蓮主義とはなんだったのか』(大谷栄一著 講談社)。今年の読書はここから始めます。600頁に及ぶ大著。

【追記1】近代の人名はアジ歴で検索するのが一般的です、と知人に教えられました。なるほど。

【追記2】第五章まで読み進んできました。(1/14)「日蓮主義はどのように天皇主義と接続したのか?」というのがずっと疑問としてあったのだけれど、セイロンの仏教復興運動家であるダルマパーラという僧が1902年に来日した折、田中智学と面会し、「セイロンの歴史の言い伝えとして、約2500年前、インド王族の高級貴族五百名が海を越えてどこかに行った」という話を伝えたとある。智学は、この貴族を神武天皇と解釈し、みずからの国体論に取り込んだ。(p.159) 

【追記3】手元においてじっくり読むべく、MARUZENにて新刊購入(1/17)



2020年1月6日月曜日

公開講話

公開講話(本部稽古場・京都研修会館)は3回シリーズで行われていて、未会員の方が参加できるのは、1月、5月、9月のみになっています。京都開催分は28日14時からです。事前予約が必要です。申し込みは身体教育研究所(03-3708-2088  info@keikojo.jp)まで。


2020年1月1日水曜日

謹賀新年

明けましておめでとうございます
「今年は仕事するぞ」という気分で新しい年を迎えました