■真夜中を過ぎても30度を切らない最悪の熱帯夜を乗り切るには冷房に頼るしかなく、タイマーをかけて布団の上でごろごろしているうちに6時半がきたので起き出してバナナヨーグルトの朝食を食べ、せっかく早起きしたのだからと、外に出てぼたぼたと落ちている木槿の花を拾い集め庭の片隅にほかす。このあたりでちゃんと近所付き合いしようと思ったら毎朝6時に起きて外周りの掃除すればいいのだろうが、普段8時にしか起きてないので近所の評判はきっと芳しいものではないだろう。7時半、26番のバスに乗って京都駅に向い近鉄電車に乗り換える。近鉄乗るの何年振りだろうなどと窓の外の風景を見ているうちに橿原神宮前。なんだ意外に都会じゃないか。■天河神社の名前は40年も昔からいろんな人から聞いていたが、これまで縁がなく、今回がはじめての訪問になる。能楽師の味方さんという方が天河神社で能を奉納されるというので橿原神宮からのバス付きツアーに申し込んだ。鎌倉稽古場の方たちも何名か来られるということは後から知った。天河神社はこじんまりとした神社で、本殿の真向かいに能舞台がつくられている。神事につづきお能「三輪」が奉納される。風が通り抜けるオープンエアの能舞台は素晴らしく、これまでで最高のお能体験となる。■往路は主催者事務局が用意してくれたバスを利用したのだが、帰りは稽古会に来ている方が車で来ていたので便乗させてもらうことにして出発。往路、バスの窓から外を観ることもできなかったので、まさかこんな坂道をこんなに登ってきていたのかと驚く。奈良の地を歩いた記憶を辿って行くと20代の頃が一番ひんぱんに来ていて、最近来たのはいったいいつだろうと考えると、奈良女で行われた体育学会にダン先生のお供で来たときくらいで、それにしても15年も前のことになる。いや日帰りツアーとはいえ、随分遠出した気分。京都は雨が降ったようで、すこしばかり涼しい。