2021年11月1日月曜日

QRP

  十代の頃はラジオ少年で、半田ごて片手にアンプを作ったり、ラジオを自作したりしていた。真空管の時代である。十代後半に入ってからは、もっぱらアマチュア無線。受信機は買ってもらったものを使っていたが、送信機は自作。

 アマチュア無線用語でQRPというのがある。送信出力を絞ることを意味していて、どれだけ小さな出力で、どれだけ遠くの人と交信できるかを競う。既成の高性能高出力の機器で遠くの人と話せるのは当然のことで面白くない。僕はこのQRPというのが大好きで、自作した小出力の電信専用の送信機で深夜、海外の友を求めて電波の世界に遊んでいた。もっぱら使っていたのは、電離層の反射を利用して遠くと通信できる短波帯。フェージングという作用の影響で受信レベルが高くなったり低くなったり、聴こえてくるモールス信号の音程も揺らぐ。

 二十代に入り、実際に自分の脚で旅するようになってから、アマチュア無線への関心はピタリと止み、以後、再開することもなかった。今に繋がっているものとすれば、電波のように目に見えないものへのロマンであったり、未知の土地への好奇心であったということになる。全然、工学系ではなかったな。ミニマリストの素養は昔からあったわけだ。