四国遍路を発願したのは十年前、311の翌年のことである。(→遍路) その年の初めにふと思いつき、準備万端整えて出発寸前まで行ったのだが、実現しなかった。あれから十年。今の方が、出立する機は熟したといえなくもない。なんせ、ここ十年の間に、どれだけ多くの身近な人たちが鬼籍に入ってしまったことか。2013年の暮れに義姉のお亨さんが亡くなったのがはじまりで、翌年には竹居先生、裕介先生、妻睦子、父公一とたてつづけに近しい人たちが逝ってしまった。僕が京都に居を移した2015年以降も室野井さん、小杉さん、剱持さん、吉木さん、去年には栗田くん。親戚友人関係でも雅弘さん、修平さん、彰一くん、小栗栖さん、平田さん、そして先月には真海和尚まで逝ってしまわれた。そして伸幸くん。その他大勢。そりゃ、誰もいつかは居なくなる。ここに挙げた人たちがたまたま先に行ってしまっただけのことで、三年後、五年後、僕自身どっちの側にいるかわからない。そんなことを思いながら最初の一歩を踏み出した。