2022年8月10日水曜日

白山 3

別当出合から山頂までの標高差1500mの登山はお遍路で30キロ歩くよりもきつかった。でも一番きつかったのは、室堂から宿泊地の南竜山荘に至るトンビ岩ルートでの下り道。ガスは濃くなる、陽は落ちてくる、道は岩だらけ。難易度が高かった。

山を登る人は、眺望を求めて登っているのだと勝手に思い込んでいたのだが、そう単純ではないということが、今回の白山登山で分かった。山道といっても、ずいぶんいろんな種類の山道がある。それぞれに応じて、身体の使い方がちがう。結果として、文字通り全身全感覚を駆使した活動となる。

山頂にたどり着けたのは同行者のおかげである。最初のうちは調子よく登っていたのだが、2000mを超えたあたりから足が重くなっていき、休憩するたびにへなへなと座り込んでいた。それでも、ゆっくりでもかまわないから、一歩一歩足をすすめていくと、いつか頂にたどり着ける。これは当たり前にして新しい発見であった。