2023年10月30日月曜日

10月の読書

暗殺者たち* 黒川創 新潮社 2013
1909年10月26日、伊藤博文はハルビンの駅ホームで安重根に狙撃される。その年の9月、夏目漱石は満洲・朝鮮を一月半に渡り旅行している。その旅から帰ってきて十日目に狙撃事件は起こる。小説#暗殺者たち はこのように始まる。主役は20世紀初頭という漱石たちが生きた時代。幸徳秋水、菅野須賀子、荒畑寒村、大石誠之助といった面々が交わる時代。小説とドキュメンタリーを合体させたような構成で、今に繋がる百年前の時代を著者と共に旅をする、そんな小説。黒川創 いいね。

暗い林を抜けて* 黒川創 新潮社 2020
くらしのアナキズム* 松下圭一郎 ミシマ社 2021
京都-未完の産業都市のゆくえ 有賀健 新潮選書 2023
これは「快著」と呼んでよいのではないか。京都ネイティブ/外からやってきた現京都住民/それ以外の人、三者の思いのズレがどこからやってくるのか、都市経済学というツールで解きほぐしてくれる「京都神話解体新書」。終章の市内改造案は物議を醸しそうだ。

K氏の大阪弁ブンガク論* 江弘毅 ミシマ社 2018
震災後文学論* 木村朗子 青土社 2013
日本で100年、生きてきて* むのたけじ 朝日新書 2015
カメラを止めて書きます* ヤンヨンヒ クオン 2023