2021年8月16日月曜日

人生はいつはじまるだろう

 人生はいつはじまるのだろう。そんな妙なことを考えている。そもそも、「人生」などいう単一で呼べるものなどあるのだろうか。むしろ、複数の人生が接ぎ木されるようにして、ここまでたどり着いたのではないか。「今の人生いつはじまった?」と問を変えると、僕の場合、父や妻が逝った七年前からはじまったとしか言いようがない。その前の人生と今の人生が不連続なのだ。長い時間をともに過ごしてきた人が居なくなってしまう。それによって、自分の人生が次のステージに否応なしに押し出されていく。ただし、その中断のあとも、その人たちとの未実現の人生は続いていく。連続性があるのは、未実現の人生の方で、現実の人生は不連続。つまり僕らはパラレルワールドを生きているのだ。これまで多くの岐路があって、その時々に決断し、あみだくじをたどるようにここまで生きてきた。しかし、その時々で選択されなかった道は、そのあとも続いていたのではないか。妙な考えは、不思議な答えにたどりつく。今日は送り火。