隧道の壁を伝いて遍路ゆく
徳島から室戸岬を経て高知に至る国道55号線をひたすら歩く。徳島側はトンネルも多く、車がビュンビュン走っている横を歩くことになる。海沿いとはいえ、アップダウンの繰り返し。幸い天気には恵まれた。何日か歩いたあと、宿の洗面所に鏡に映る自分の顔に驚いた。日焼けしてる。
舗装道路は人間の脚には優しくない。いや、これは罰ゲームなのかというくらい過酷である。歩道もあるが、これももちろん舗装されていて、おまけに車道よりも小さなアップダウンがあって、それがつらい。いっそ、フラットな車道の端っこを歩いた方が楽だったりする。アスファルト道というのは、コミュニケーションを拒絶しているとしか思えない。かろうじてコミュニケーション可能なのが、側溝を覆うために置かれたブロックの上を歩くこと。その下にある空気を感じ取りながら歩くと脚もひと息つく。道路脇に落ち葉が溜まっていたり苔に覆われていると嬉しくなる。