2023年3月22日水曜日

遍路2023 その2

隧道の壁を伝いて遍路ゆく

徳島から室戸岬を経て高知に至る国道55号線をひたすら歩く。徳島側はトンネルも多く、車がビュンビュン走っている横を歩くことになる。海沿いとはいえ、アップダウンの繰り返し。幸い天気には恵まれた。何日か歩いたあと、宿の洗面所に鏡に映る自分の顔に驚いた。日焼けしてる。

舗装道路は人間の脚には優しくない。いや、これは罰ゲームなのかというくらい過酷である。歩道もあるが、これももちろん舗装されていて、おまけに車道よりも小さなアップダウンがあって、それがつらい。いっそ、フラットな車道の端っこを歩いた方が楽だったりする。アスファルト道というのは、コミュニケーションを拒絶しているとしか思えない。かろうじてコミュニケーション可能なのが、側溝を覆うために置かれたブロックの上を歩くこと。その下にある空気を感じ取りながら歩くと脚もひと息つく。道路脇に落ち葉が溜まっていたり苔に覆われていると嬉しくなる。

阿波は発心の道場で、土佐は修行の道場と言うらしい。いつごろ誰が言いはじめたのか知らないけれど、コピーとしては優れている。たしかに徳島を歩いているときには、なんでこんなこと始めちゃったんだろうという迷いがあった。でも室戸岬を目指して歩き始めると、もう前に進んでいくしかない。関西からの玄関口である徳島駅から、どんどん遠ざかり、高知まで歩かないと京都に帰ってこれないのだ。