2021年7月1日木曜日

ZOOMで稽古は可能か

狭い稽古場に三脚に載せたiPadを持ち込みZOOMを起動する。手元のiPhoneの画面には翻訳ソフト。この時点で稽古会としてはすでに大減点。やむおえずはじめたリモート稽古。相手はベルリン在住のコロンビア出身のダンサー・コレオグラファー。本当ならアーティスト・レジデンシー・プログラムで今頃京都ライフを楽しんでいるはずだったのに、コロナ騒動でなんとオンライン・レジデンシー・プログラムになってしまったとのこと。語彙矛盾ではないか。

さて、ZOOMで稽古は可能か? 
限りなくノーに近いイエスとでもいうか、いくつかの前提条件が整えば、かろうじて稽古は可能かもしれないというのが、ここ一ヶ月半試行錯誤してたどり着いた結論。しかし、ほんとのところ実に心許ない。

前提条件 その1 すでに稽古に触れたことがある
 今、一緒に稽古しているLさんは、サンパウロにあるPUCという大学の出身。そこで、田中敏行さんのクラスに出た経験がある。十年も前のことらしいけれど…。彼女が僕のところにたどりついたのは、そもそも田中さんの経由。彼女と話したり、作品を見せてもらった限り、稽古との親和性はありそうだし、動法からヒントを得ている部分もうっすらと感じられる。いずれにしても田中さんのところでの経験なしに、オンラインでの稽古は考えられない。今、「空気」に関心があるとのことなので、「見えないものに集注する」という稽古から始めた。

前提条件 その2 複数人の人が向こう側にいる
 初回は1対1でやってみたのだが、「あ、こりゃだめだ」ということがすぐわかった。画面越しのface to faceというのは駄目ですね。稽古にならない。苦肉の策として、お互いに相棒を用意することにした。こっちも二人、向こうも二人というスタイル。これで、少し稽古風景らしくなった。こちら側でデモンストレーションをやり、それを向こうでもやってもらう。チェック役がいるだけで、全然違ってくる。田中さんの元生徒が何人かベルリンに居るらしい。田中組おそるべし。

前提条件 その3 いつかリアルな場での稽古できるという可能性を有している
 この先、リアルな場で一緒に稽古できるという保証はまるでない。しかし、それを前提としないことには、やってられない。隔靴掻痒感が強すぎる。つまり、オンラインだけで稽古が完結することはありえない。はたして、こちらが意図していることが、どれだけ伝わっているか確認する機会がいつかやってくることをお互いに祈念しない限り無理。

ZOOMで稽古するくらいなら、自己隔離の期間が必要としても、生身の体をこっちに運んだほうが良策のように思えるのだけれど、そういうわけにもいかないらしい。オンライン・レジデンシー・プログラムはあとひと月続く。