年内に一度ご機嫌伺いに出向こうと、ぼくの整体の最初に師匠に電話してみる。数年前、脳梗塞で倒れ、一時はどうなることかと心配していたのだが、電話を通しての声は、倒れた当初よりはだいぶ聞き取りやすくなってきた。なにか食べたいものがあると訊くと、寿司が食べたいとおっしゃる。寿司となると、近所のイズミヤの寿司というわけにはいかない。大丸にでもいくか。
市バスで四条烏丸。成城石井で年末用のチーズを買い、その足で大丸へ。地下の食品売り場は賑わっている。店内で食わせる寿司屋さんの店先に寿司が並んでいることを思い出していってみるが、鯖寿司しか置いてない。隣の魚屋さんのコーナーで、にぎりの盛り合わせとアナゴ寿司を買うことにする。お腹は空いてきたのだが、こうなると自分の昼飯のことは横に置いて、先生の自宅に向かうしかない。阪急線で桂経由嵐山。嵐山ってカップルが遊びに来るところなのね。若いカップル、くたびれたカップルたちが終点でぞろぞろと降りる。
先生、体が不自由な割に、あっけらかんと明るい。テーブルの上に柚子が並んでいて、僕の顔を見るなり「柚子もってき」とおっしゃる。そう、22日は冬至だった。もっとも、柚子は裏庭から取っていけということだったらしく、早速裏庭に回ると、まあ、巨木になった柚子の木に実が鈴なり。置いてあった剪定バサミを借りて、枝先から柚子の実を落としていく。一緒に寿司をつまみながら世間話。40年を越える付き合いになるのか〜。出張の歯医者さんやら、マッサージのお姉さんやら、お手伝いのおばさんやら、入れ替わり立ち替わり人がやってくる。とはいえ、一日の大半は愛猫と二人だけで過ごしているわけだ。
暇乞いして帰途に着く。嵐電の嵐山を目指して歩いていく。レンタル着物を着た若いカップルが大勢歩いている。羽織もつけず寒くないのかしら。嵐山の賑わいもだいぶ戻ってきた。それでもピーク時の2、3割といったところか。そうだ、桜餅で有名なお店があったはずとgoole mapで検索。駅から遠くなさそうなのでいってみることにする。嵐山エリアの裏道を歩くなんてひさしぶりだ。鶴屋寿で自家用にと桜餅ふたつだけ包んでもらう。ちょっと歩き疲れて座りたくなってしまった。
駅方向とは反対になるが、JR嵯峨駅の近くに美味しいコーヒーの店があったぞと、ヤマモトコーヒーを目指す。以前、トロッコ列車に乗る前に入ったことがある。お昼時はとおに過ぎているのにお店はほぼ満席。観光客半分、地元民半分といったところか。ひとりで卵サンドは食べきれそうもないので、ピザトーストとコーヒーを注文。
京福電鉄の嵐山に戻り、帷子ノ辻経由で等寺院に帰り着く。今日は柚子風呂だ。