2013年4月3日水曜日

マサラドサ

 これまで何百回となく食べたカレーのうち一番美味しかったのは、マイソールからケララにバスで向かう途中、食事休憩の時立ち寄った峠のレストランで食べたフィッシュカレーだと断言できる。独りで動いていたのか、誰かと一緒だったのかも定かではない。なんせ1974年のこと。

 テーブルにつくと、まず大きめのグラスに注がれた水が、次にバナナの葉っぱがテーブルの上にサッと広げられる。客はグラスの水を葉っぱの上にこぼし掌でバナナのお皿を洗い清める。すかさずバケツ一杯のライスを抱えたウエイターが手際よくご飯を盛っていく。サブジと呼ばれる野菜、サワーヨーグルト、そしてぶつ切りのフィッシュカレー...。それらが次から次に盛られていく。なんの魚だったのかね~。海の魚だったことは間違いないのだが。でも、記憶力最弱の私がなんでこのことは鮮明に覚えているのだろう。

 江戸川にマサラドサが食べられるお店があると聞き、父のご機嫌伺いに行ったついでに寄ってみた。マサラドサというのは、コメの粉をクレープ状に焼いたもので、中にポテトのカレーがはさんである。南インドではポピュラーなのだが、日本にあるインド料理店ではお目にかかったことがない。予想より二倍でかく、予想より少々油ぎってパリパリしすぎたマサラドサが出てきたが、味は及第点。マサラドサをきっかけにカレーを含め昔の記憶が甦ったので記録しておく。