このブログの前身は、「あざみ野通信」と名づけた個人通信で、1986年9月、僕が東京に出てきてから3カ月目に始まっている。ワープロが普及しはじめて間もないころで、ワープロ入力→インクリボン印字→両面コピー→郵送という手順を踏んで、50部くらいを友人たちに送りつけていた。紙メディアの時代がだいぶ長く続き、その後、インターネットを使い始めると、メール版、web版と姿を変え、ここ十年くらいはブログに書くというスタイルで落ち着いている。郵送、メールの時代は、まだ読者が特定されていた訳だが、web版以降は、誰が読んでいるのか分からないし、送りつけるより、興味のある方(いろんな興味の持ち方がありそうだが…)に読んでもらえればいいか〜、というスタンスに変わってきた。
駄文も積もれば山となるで、30年近く書き続けていると量だけは溜まってくる。ここから稽古場史を抽出できるだろうし、育児史、家庭史も抽出できるだろう。かさばるものでもないし、テキストデータとしてせめて娘くらいには残しておこうと思うのだが、ひとつ問題にぶつかった。固有名詞をさけて、Aさん、Bさんという表現を使っているケースが結構ある。ところが、D先生くらいなら問題ないのだが(記号にしている意味もない)、いったい誰のことを示しているのかが自分でも判然とせず、復元できないものが沢山でてきた。例えば以下の文章(いま読み返すとのどかだな〜)。これはおそらく、web版の文章だと思うのだが、S1,S2,S3まで出てくる。Sくんは男性で、Sさんなら女性だろうということは想像できるのだが、そこから先がなかなか難しい。十年も経つと、記憶というものはあやしくなるものです。
【気刊あざみ野通信 #295 2004/8/4】■Kくんは稽古仲間であると同時に僕のサッカー師匠である。ここのところJ2フロンターレ川崎に入れ込んで、等々力通いを続けているらしい。そんな彼とのサッカー談義。■「問題は、横パスばかりしたがる人間が多いことだ」というのはサッカーに喩えた恋愛論。「ゴール目指して切れ込んでいけばいいものを、ゴール前でうろうろ横パスの交換ばかりしている輩が多い。もうちょっでロスタイムに入ってしまおうかという時間帯にそんな悠長なことをやってる場合じゃないだろう」とKくんを含む40代独身の友人たちを揶揄するのは私。■MFばっかりでFWがいない、というのは稽古場の人材を評して得た共通の認識。なんだ稽古場もサッカー日本代表と同じじゃないかと二人で溜息をつく。それでも、誰彼構わず突っかかっていくS1くん、いい球が渡れば強さをみせるS2さんなどFWの素質はあるかもしれない。フムフム。DFラインを統率するのはEさんでしょうと、Kくん。なるほど、存在感あるし、リーダーシップも十分。ちなみにKくんも僕もボランチ的であるらしい。前線に球を放り込む、ときどき攻撃参加する、相手の攻撃の芽を摘む。もっともKくんと僕のダブルボランチとなると最悪の組み合わせかもしれないな、これは。■これには後日談がある。数日後、Kくん、なんとメンバー表を持って現れた。つまり稽古場の人間11人で1チーム作ろうというのである。なるほどというメンツが顔を揃えている。GKがKさんーこれはちょっと不安。右サイドバックにS3さん。左サイドバックにWくんーこれはいい。じゃあ今度は、僕が西日本チームを作ってみようと応じたのだが、こんなやりとりを稽古場の人が聴いたら怒り出すかあきれるか。■アジア杯にアテネ五輪。ここのところ連日のようにサッカーの試合をテレビで放映している。目くじらを立てず、こういう消夏法もあるのだとお読み流しください。それにしてもアジア杯準決勝の対バーレーン戦はすごい試合だった。