8月の白山稽古会から帰還。石川もしっかり暑かった。
この白山稽古会、15年続いている。
京都に引っ越して9年になるから、京都から通っている期間の方が長くなってしまった。
この会が始まったとき、まだ北陸新幹線は開通してなかったので、東京から越後湯沢まで上越新幹線で移動し、そこから、直江津までほくほく線、そこからさらに北陸本線に乗り継いで金沢にたどり着くというルートだった。片道5時間。直江津で買った鱒寿司を日本海を眺めながら食べていた。飛行機と宿がパッケージになっている出張パックというものを見つけて、飛行機で小松に飛んでいた時期もあった。十年前、亡くなった妻が秋田で入院静養していた時期には、上野から山形新幹線で新庄、そこから奥羽線で院内という駅まで行き、そこからまた新庄に戻り、日本海に出て村上新潟経由で金沢。そして帰りは米原経由の東海道新幹線という、日本半周コースで移動していたこともある。交通宿泊費を考えると、黒字にもならず、かといって赤字でもない稽古会だったけれど、なぜか6年間通った。参加者の関心と僕自身の首都脱出欲求が合致したということなのか。
2015年に京都に引っ越してきてからは、金沢直通のサンダーバードが使えるようになった。便数は少ないが、会場であるふるさと館のある松任に停る便もあって、これは便利であった。窓から四季折々に姿を変える琵琶湖や白山を眺めながら、ときにはうたた寝をしながら石川に通った。金沢までの北陸新幹線が開通したのは2015年のことなので、それほどは利用してない。しかし、新幹線開通で金沢の駅は大きく変わり、観光客がどっと増え、金沢駅周辺のホテルが取りづらくなっていった。コロナ前の話である。
そして、とうとう新幹線が敦賀まで延伸してしまった。京都からサンダーバードは敦賀。そこから新幹線に乗り換えて小松または金沢。そして松任へ。乗り換えが2回。それぞれ電車に乗っている時間は1時間に満たず、つまり、うたた寝をしている余裕がなくなってしまった。時間は短縮されない。運賃は上がる。関西から北陸を目指す人間にはまったくメリットのない新幹線延伸である。おまけに、関東方面からの観光客とインバウンド客の増加で、また金沢駅周辺の宿が取りづらい状態に逆戻りである。
そもそもこの会は、松任で活動していたワンネススクールの森さんの要請で始まったもので、ここまで継続して稽古しているメンバーの顔ぶれをみると、なんらかのかたちで森さんと縁のある方たちである。森さんは本人は多忙すぎてフェードアウトしてしまっているけれど、しっかり気配だけは残していっている。月一の稽古でできることは限られていて、あまり前に進んでいる感じはない。それでも積み重ねられ、深まっているものがあることは疑う余地がない。15年もやっているのに、参加者の数が増えていかないのは、僕の力量の故である。
さていつまで、この会は続くのだろう。金沢に稽古場もでき、そっちで稽古してもらえればとも思うのだが、白山と金沢は、同じ加賀とはいえ気風が違ったりするので、当面、棲み分けるかたちになるのだろう。ここにきて、若い人が加わったりして、ちょっと活気も出てきてる。老骨に鞭打って、もう少し白山に通うことにする。今回は、往復とも小松経由で松任、宿泊も松任だったから金沢に足を踏み入れていない。