2012年12月15日土曜日

 先月末の大井町大掃除。若手中心に8名程が集まってくれた。手分けして、稽古場を掃除していく。今回、僕はひたすら一階の木の壁を空雑巾で拭いていた。大井町稽古場は木が潤沢に使われている建物で、一階の稽古場部分の壁面の大半は下から上まで木が貼られているから、面積としては相当なものである。脚立の上に立ち、壁の上半分を拭き、脚立から降りて下半分を拭くという作業を延々とやっていた。結局、ひとりで壁の8割くらい拭いたのではないかな。一見綺麗にみえる壁面も拭いたあとで雑巾をみると確実に汚れている。筆動法のときに、作品を押しピンで壁に留めてきたから、その小さな穴も無数にあいている。ちょっと申し訳ない気持ちになった。

 この稽古場も来年で20年になるのだな。僕自身が関わるようになって十年を超える。秋のはじめくらいに、壁にずっとかかっていた、嘉山たかねさんの絵がずいぶんくたびれてるように見えたので、一旦おろした。どういう理由でこの絵が、稽古場の壁にかかることになったのか、その経緯はよくしらない。当時、絵と書をミックスした創作活動を盛んにやっていた嘉山さんとも随分会ってないのだが、どうしてるんだろう。たかねさんの絵は陽の差し込む二階に置いておいたら、日の光を浴びて少し元気になったような気がしたので、元の場所に戻すことにした。絵の表面を指で少しこすってみたら、思いの他よごれていたのに驚き、ティッシュペーパーで丁寧にその汚れを落としていったら、また一段と力が蘇ってきた。

 大井町稽古場は電灯がやたらたくさんぶら下がっている。ずっと白熱電球を使ってきたのだが、その電球がまたよく切れる。気のせいかもしれないが、電球がよく切れてしまう担当者というのがいる。過剰に電気を帯びる人間っているのか? ただ単に温度差が大きいのが理由かもしれないが、電球の買い置きをしておかないと、いざという時に対処できない。白熱電球は少しずつLED電球に替えてきている。それでもまだ、白熱電球の方が多いくらいか。ただ、LED球はまぶしくて、光が直接目に入る位置には使えない。ずっとほっとらかしにしていたスポットライトにLED電球を入れてみることにした。LEDはスポットライト向けである。そのスポットライトを元に戻した絵に向けてみたら、なかなかよい。先日、はじめて大井町稽古場に足を踏み入れたひとが、「なんとアートなスペース」と感心していたが、たしかに、ギャラリー風である。そうなると、室内の暗さを強調する要因のひとつである黒壁もよく見えてくる。現金なものである。