博覧強記の人は苦手である。
その頭の良さは認めるとしても、博覧強記ぶりが頭抜けた人とは距離を置いてしまう。
AIは博覧強記である。過去問を全部解いたことのある受験生みたいなもので、問い掛ければ、ちゃんとした(ようにみえる)答えが返ってくる。過去問になくても、過去問から類推して、ちゃんとした(ようにみえる)答えを返してくるに違いない。DeepLもchatGPTも優等生。この人たち(すでに擬人化がはじまっている!)に自分の語彙、文体を教え込めば、分身が生まれそうである。
人に似せたヒューマノイドロボットを作っていく過程で、不気味の谷現象というのが起こるらしい。つまり、その風貌が人に近づいていくと、あるポイントで人の方が拒否反応を起こしてしまう。AIの答えに対する薄気味悪さは、この不気味の谷現象に近いのだろう。あたかも、画面の向こう側に、自分の姿に似たいきものが座っているような錯覚を持つ。この異化感とどのように付き合っていくべきなのか、この先、重要になってくるはずなのだが、身体加工を唯々諾諾受け入れている現代人の多くは、そのような異化感を軽々と飛び越えていきそうだ。こわい時代だ。